塾で一番おもしろかったのは、なんといっても小論文の授業です。大学受験のために通った大手予備校は、いわゆる名物講師がたくさんいたのですが、その中でも私は小論文の先生が非常に好きでした。それまで、作文の類が苦手だった私は、小論文ももちろん苦手。私大の受験には小論文は欠かせないのですが、イマイチ勉強の仕方もよくわからないし、学校でも「とりあえず書いてみることが一番の練習」というような指導しかしてもらえず、どうしてよいかわからないままでした。けれども、その先生は、どうやったら良い小論文が書けるかという、テクニックをいろいろと教えてくれたため、非常に実践的で役に立ちました。
なかでもおもしろくて、今でも覚えているのが、何を書いていいのか全くわからないテーマが与えられてしまったときにどうするか、という話です。その先生が受験生のとき、聞いたこともないような四字熟語がテーマとして与えられてしまったそうです。その四字熟語がよい意味なのか悪い意味のかすらわからず、完全にお手上げと思ったそうなのですが、なんと、四字熟語の意味には触れず、それにまつわるエピソードをでっちあげて乗り切ったんだとか。自分の得意な分野に無理やりテーマを持ってくる力技、社会人になった今もテクニックとして生きています。